私の生まれは静岡なもんで、比較的標準語に近い言語の文化で育ってきた。
静岡弁はこれと言って特別なイントネーションも無い。強いていえば「〜ら」「〜だら」と言う語尾が特徴的なくらいで、それも意味は明快で、標準語の「でしょ」である。
そのため大学入学当初の地方出身者の方言談義にも特段面白い話題も提供できずに終わる。それが静岡弁であり静岡県民の謙虚さがそういうところにも反映されているのだ。(適当)
さて、話は変わるが、もう1人ののっそのっそ人間であるNODOKAは京都出身であり、方言の王道である関西弁の話者である。
イントネーションがあり聞きやすく会話のテンポも良い、さらには関西弁というだけで相手にズカズカ言っても悪い印象を与えないと言う特殊能力も持ち合わせている。口下手の権化のような私には羨ましい能力だ。
そんなNODOKAの口からは軽快にホップステップするデイダラボッチのような言葉がニュルンニュルンと射出され、口数の少ない私はいつも飲み込まれてしまう。ので受け流すようにしている。
そんな中で少し違和感を感じ続けていた関西弁があった。
それが「やんか」である。
関西のあの娘「うちこないだ車で駅まで行ったんやんか」
関西のあいつ「おれ今度大阪で個展開くんやんか」
私の心中(いや、あなたのそんなこと知らないですけどね。)
「やんか」を標準語で「じゃんか」のように認識していた私は、これを聞くたびに心の中で悪態をついていた。なぜこんなに他人が自分の事を知っていると思っているのだろう変な人たち、と。
しかしある時NODOKAにその疑問をぶつけ、衝撃を受けた。小説イニシエーションラブのカラクリに気づいた時のようなソワソワ感に似ていた。
NODOKA曰く、「やんか」の真実はこうだ。
①〜やんか=〜じゃんか
例)うち昨日髪切りに行ったやんか=うち昨日髪切りに行ったじゃんか
これは私の思っていた意味で、話し手は聞き手が知っている前提で話している。問題は次だ
②〜んやんか=〜んだけどさ
例)うち昨日髪切りに行ったんやんか=うち昨日髪切りに行ったんだけどさ
この場合は何かの話の前置きを話す時に使用され、話し手はむしろ聞き手が知らない場合に使うというのだ。
つまり「ん」が前に入るかどうかで意味が変わるらしいのだ。
これを聞いた時、過去の「やんか」関連の記憶のつじつまが合っていった。
間違っていたのは俺の方だった。。。
もっと早く言ってくれれば。。。
最後に真実を知らされたサスペンスの犯人の気持ちが少し分かった。
分からないことは聞くべきだなぁと反省した、そんな歯磨き中の会話より。
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