読書会#9

読書会 at すずしげキッチンカー オアシス
@suzushige_oasis

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恒例の読書会しました。今回も夏目漱石の夢十夜『第十夜』を読書会してみました。ついに最終夜です。一夜ずつやってた訳ではないですが、一旦この回で夢十夜は終わりです。

今回も、ご参加くださった皆様ありがとうございました!

第十夜は、第八夜にもチラッと出てきた”庄太郎”、彼が主人公。いや、それとも全然別人?!当時多い名前だったかも、とここでも話が広がりましたが、庄太郎という青年が豚と戦い死んでしまうというお話。
これだけだと何のこっちゃという感じなのですが、わたし個人的には夢十夜の中で一番好きなお話。

このお話に出てくる”パナマ帽”も何か含意されているのでは、と色々考察。この当時、西洋の文化がどんどん入ってきて、断髪もし、男の人ははぼ全員帽子を被っているような時代で、パナマ帽は最先端の超高級お帽子だったそう。ひとつ15円、初任給で買えるか買えないかの時代。そんな帽子を被って、これまた日本に入ってきたばかりの最先端の食べ物、水菓子(今でいう果物)屋さんの前で女の人ばっかり眺めている庄太郎。ミーハーでルッキズムなお坊ちゃん…そんな印象を受ける。
そんな庄太郎坊ちゃんは、女の人に良かれと思って親切をしたら、謎なところに連れていかれてしまう。ある駅の描写が”キサラギ駅”の様らしい。(なんか静岡で有名な話みたいで、聞いててゾワゾワしました)

そしてこのお話でインパクトある登場人物(?)といえば豚。ここでは豚は「悪魔や悪の象徴」としているのでは、という解釈が出てきた。聞くと、『ガダラの豚の奇跡』という1983年にイギリスの画家が描いたものと、確かに描写が似ている…!そんな話が聖書にもあって、悪魔祓いをするために悪霊を豚に乗り移らせて豚を崖から落とす、という話。豚が可哀想なんと、崖に落としたらOKなんやっていうツッコミは置いておく。
(そうそう、『ガダラの豚』っていう中島らもさんの小説もあるらしい。)

漱石も聖書読んでたかもやし、イギリス留学の時に絵も観てるかもね。ちなみに漱石がイギリス留学の時に乗った船に、キリスト教宣教師の人も乗り合わせてて、そこで布教活動してた宣教師にめっちゃ詰め寄ってたそう。神ってきっと精神的なもので理詰めされても困っちゃうよね、きっと。知らんけど。

このお話の語り手で出てくる健さんが、庄太郎のパナマ帽を手にするだろう…というところで話は終わるけども、次は健さんが犠牲者になるかもしれない。。というお話??


夢物語な上に時代背景も違い、なかなか難しいかったけども、ストーリーとして単純に面白いので是非読んでみてほしいです。

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